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おしゃべり散歩道2001

Qちゃんありがとう

 私事ですが、このたび2000年度の「放送ウーマン賞」を受賞することになりました。この賞は「日本女性放送者懇談会」が主催するもので、毎年放送界で活躍した人に功労賞として贈られるものです。
 まるで夢のようなお話。わたしマスメディアという新しいフィールドでの賞は初めてなのです。それに今まで受賞された方々の顔触れを見ると、落合恵子さんや国谷裕子さんなど、尊敬している方々ばかり。本当にわたしでいいの? って感じです。
 Qちゃん(高橋尚子)ありがとう。シドニー・オリンピックでの解説が評価されたと聞いています。最高のレースをしたQちゃんに心から感動できたおかげです。
 また、一緒に中継させていただいた実況の森下桂吉アナウンサーが放送前に言われた言葉を忘れることはありません。「僕たちの放送がいいか悪いかは、家族しか言わないよ。主役は選手なんだから。僕はレースが面白いときは黙るからよろしくね」と。
 4年に一度のオリンピックは放送人にとっても大舞台。力が入るものです。普通は準備してきたものを出そう、出そうとするものですが、「(国際映像の)画面をしっかり見よう」と言った人は初めてでした。おかげで「見ること」に集中できたのです。
 ところで、これは選手時代も感じたことですが、「落ち込むことは未来のエネルギーにつながる」と思います。それは今まで解説の仕事ほど落ち込むものはなかったからです。「生放送」の怖さは、発した言葉を取り戻せないこと。原稿のように消しゴムで消せないことです。
 選手のことを話すのにわたしが緊張し過ぎたために言葉が足らず、選手が誤解されてしまったこともありました。またある時はたくさんしゃべっているのに話がまとまらず、しり切れとんぼでCMへ。終わってからディレクターが「増田にはCMの前にふるなと言ったのに・・・」とアナウンサーにこぼしているのを聞いてしまいました。
 でも、落ち込むほどに先輩方の言葉が体にしみこみます。「俳句を習うと言葉のぜい肉が取れますよ」と永六輔さん。また、ある方は「うまく話そうとしないで選手の気持ちになることです」と。

(共同通信)

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