家族一緒に夢を追う
お正月の箱根駅伝で2連覇を達成した駒大の大八木弘明助監督。優勝後に2日間、奥さまと小学校3年の長女、3歳の二女の家族水入らずで、静岡県堂ヶ島の温泉でのんびり。久々の家族旅行だったようです。
優勝後の祝賀会で、長女の亜紀ちゃんは、「花の2区」を走ったエース松下龍治選手(4年)と、区間賞の快走だった9区の島村清孝選手(4年)の胸で大泣きしました。
そんな娘の姿に、大八木さんは「まだ小さいけど、うれし涙を味わっている。お兄ちゃんたち(選手)のおかげで、感動が自分の中で感じられるのがうれしい」と目を細めました。
奥さまは毎日、選手が生活する寮に40人分の朝食と夕食を作りに来ます。亜紀ちゃんも一緒のことが多く、夕食後は選手とテレビを見たりゲームをしたり。亜紀ちゃんにとっては、お兄ちゃんがいっぱいの「大家族」なのです。
大八木さんはよく言っています。「僕は一人で”夢”を見ているのではない。家族が一緒に夢を追ってくれるから頑張れる」。チームの強さは、こんなところにあるのではないでしょうか。
そして今、助監督は毎日、3年生の選手一人ひとりと、ゆっくり時間をかけて面接をしています。彼らの将来についての考えを聞くためです。来年の箱根で終わりにしたいのか、それともマラソンでの成功を目指して実業団入りしたいのか…。3年生のこの時期にしっかりと目標を定めることで、残る1年間の練習内容が変わってきます。
つまり、大学チームにありがちな箱根駅伝を最終目標にしていないということです。こんな彼の指導で育ったのが、前マラソン日本最高記録保持者の藤田敦史選手(現富士通)たちなのです。
松下選手は3月のびわ湖毎日マラソンに、島村選手は熊日30キロロードレースにチャレンジ。駅伝から「世界のマラソン」へ−。大八木さん一家の夢は膨らみます。
(共同通信/2003年1月14日配信)
|