「天城越え」が私のリズム
マラソンシーズンの欧州。13日はロンドンマラソンだ。テムズ川沿いの桜並木が、ランナーたちを迎える。
今、女子選手のスタイルはいろいろだ。オカッパ頭に大きなピアス、長いポニーテール…。そんな選手を見て、「ああして恋人を気にするから強いんだね」と思う人もいれば、「あんなに髪の毛がワッサワッサしてたら邪魔になるでしょ」と思う人もいると思う。
でも、知っていましたか?首筋に当たるポニーテールが、心地良いリズムを生んでいることを。耳のピアスにも、ランニングパンツのお守りにも同じ効果があることを。
私は調子がいい時、頭の中にずうーっと石川さゆりさんの演歌「天城越え」が流れていた。
東京国際女子マラソンで日本人トップになった時(89年)も、35キロすぎの四谷の長い上り坂で、「あまぎ〜ご〜え」と、リズムに腕の振りを合わせていた。
こんなのって、私だけかと思っていたら、Qちゃんこと高橋尚子さんや、ルーマニアのリディア・シモン選手も「スパートの時に曲が流れる」という。また、体調が良くない時は流れない、という点も共通している。
年々、高速化が進むマラソンだけど、欠かせないのは、やっぱり「リズム」なのかもね。
(朝日新聞/2003年4月12日掲載)
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