口を開けずに走るコツ
体育の授業で長距離を走るとき、よく「息は『吸って吸って、吐いて吐いて』ですよ」と習いませんでしたか?
この呼吸法はよく知られている。でも、吸うのは「鼻から」ってことは、あまり教えられていないみたい。一説には、日本人の半数以上が口呼吸という。
そのせいか、日本のマラソン選手も口呼吸が多い。現役時代の私もそうで、レース後半になると、口がパカァ〜と開いて、なんだかだらしなかった。
反対に、欧米の選手はすごく鼻呼吸を意識している。先日、ロンドンで女子マラソン世界最高記録を作ったポーラ・ラドクリフ選手(英国)は、あの日もノーズクリップをつけていた。
「鼻が高いからつけられるのかしら」なんて、ペチャ鼻の私なんぞはうらやましいが・・・・・・。あれは、鼻腔を開いて鼻呼吸をスムーズにしてくれるのだ。鼻呼吸の方が酸素を多く取り込めるとする専門家もいる。
「鼻呼吸の方が体に良い」という説もある。空気が直接のどの粘膜に触れる口呼吸に比べ、鼻呼吸だと鼻毛など、幾重もバリアーがある。鼻の中で適度に加湿されることも、免疫力を高めるという。湿った空気の方が肺胞になじみやすいらしい。
欧米などでは、子どもが3歳くらいまで、おしゃぶりをくわえさせているので、自然に鼻呼吸が身に付くようだ。
さわやかな初夏のランニング。ちょっと鼻呼吸を意識してみませんか?
(朝日新聞/2003年5月17日掲載)
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