さまざまな五輪代表選考
先日の東京国際女子マラソンで外国人選手たちを取材しました。あらためて女子マラソンの五輪代表選考は「それぞれの国でそれぞれのやり方」があるんだなぁと実感しました。
例えばイタリアのジェノベーゼさん。「この東京で2時間25分台で走れば、大体決まると思うわ」と話しました。イタリアは今年春から来春までの1年間に選手は主要な海外のレースを自由に走ることができます。そして、記録の良い上位3人がおおよそ国のオリンピック委員会によって選ばれるそうです。
マラソンはコースによって「記録」が違います。記録だけではかれないゆえに日本の選考の仕方(世界陸上、東京、大阪、名古屋の4レースが対象で、世界陸上ではメダルを取った日本人トップ。それ以外は各レースで上位に入り、本番での活躍が期待できる選手が選ばれる)を彼女に話しました。すると、「日本は強い選手がたくさんいるから複雑なのね。イタリアはサッカーは人気でもマラソンはそんなでもないから」と言って笑うのでした。
でも、日本よりももっと複雑だと思ったのはロシア。一昨年の東京で自己ベストを出したティモフェエワさんの話によると、ロシアでは9月25日から来年の5月1日までの間、著名な世界のマラソンレースで出した「記録」が、一つの基準になるそうです。ただ、海外を走れるのは2回だけ。さらに来年6月上旬に行われるロシア選手権で、2時間27分以内で走り勝った人も選考の基準になるとか。
そして、彼女になぜ東京を選んだのかと聞くと「東京は質が高い大会として評判だから。ここで記録を出せば、(ほかの大会で自分と同じくらいの記録を出した選手よりも)評価されるはず」という答えが返ってきました。
自分のイメージをよくするための「レース選び」にも選手は知恵を働かせているようです。
(共同通信/2003年11月19日配信)
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