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おしゃべり散歩道2006

腕をリラックス 変幻自在に

 桃の節句を過ぎた青空広がる日曜日。第20回福岡国際クロスカントリー大会が国営海の中道海浜公園で開催され、会場は春の花が咲いたような健やかさに包まれました。今年は4月初旬に同会場で開かれる世界クロスカントリー選手権大会の予選になっているため、日本長距離界の豪華な顔ぶれが勢ぞろい。女子3,000、5,000m、ハーフマラソンの日本記録保持者の福士加代子さんや、女子3,000m障害日本記録保持者の早狩実紀さんなどです。海外からはアテネ五輪マラソン銀メダリストのキャサリン・ヌデレバさん(ケニア)が招待選手として参加。
 優勝した福士さんの走りには目を見張りました。福士さんはスタート直後から飛び出し、ヌデレバさんや他の選手の追随を許しません。その走りはロードとは大きく違い、腕で上り坂に向かっていくようにリズムをとり、腕で坂道を下っていくような、まるで変幻自在な指揮者のようでした。その走りを見ながら私は大会前日、練習でもクロスカントリーをよく行う早狩さんが「クロスカントリーのいいところは自分の体のどこに余分な力が入っているかがよく分かるんです。だから自然と体の軸がしっかりしてきます」という言葉を思い出していました。福士さんの走りは軸を安定させるために、腕をリラックスさせるもの。同じ会場で中学生の駅伝が行われましたが、まだまだ走りは荒削り。でも大きなバネを芝生の上で活かしながら伸びやかに走る姿を見て、この位のうちから体と動き作りのためにクロスカントリーに取り組む大切さを実感しました。
 来月開催される世界選手権には、69カ国から約700名の選手が参加します。マラソン世界記録保持者のポーラ・ラドクリフさん(英国)も走りますが、彼女も子どもの頃からイギリスの森の中で遊ぶようにクロスカントリーをしていたそうです。福岡でどんな走りを見せてくれるのか、日本選手との対決も楽しみです。

(共同通信/2006年3月6日配信)

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