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おしゃべり散歩道2006

観光気分で境内を疾走

 お寺の鐘の音を合図にスタートすると、後ろからアジアの古典民謡が流れてきました。私はその雰囲気にうっとりしながら大勢のランナー達と一緒に境内を抜けたのです。民家の家垣のブーゲンビリアや椰子の木が木陰を作り、うねうねと続く田舎道が生活の匂いを伝えてくれました。
 この日、タイ・バンコク郊外で行われた“テンプル(お寺)・マラソン”10qの部に夫と共に参加。朝ホテルを各国のランナー達と共にバスで3時半に出発しましたが、眠気もなんのその。スタート地点に着くと、赤い屋根のエキゾチックな形のお寺の横に運河が流れ、湿った空気の中にも清々しい風を受け、嬉しさに目が覚めました。
 朝5時半を最初にフル、ハーフ、10qと順番にスタートしたコースは、その名の通り、お寺の境内を次々と走り抜けるもの。お寺からお寺へ向かう途中には椰子、バナナ、ライチ、カリンと様々な木が茂り、目はキョロキョロ忙しく動き、童心に戻ってしまいました。私達は6月に行うプーケットマラソン(津波被害からの観光復興を目的に)の下見も兼ねて参加したのです。日本と比べて給水所やコース誘導などの様子はどうか?給水所には暑さ対策に氷水が並び、フルーツの給食も。「アシ、イタクナイ?」ゴール後、誘導されて行ってみると、テントでタイ古式マッサージのサービスが。右にオーストラリアの男の子、左にドイツの女性と一緒にマッサージを受けながら、完走談義に花が咲きました。
 まるで観光しているかのようにランニングを楽しむことができたのです。ランナーの心理として、走れる元気な脚が出来たら、世界中を走って回ってみたいと思うものです。日本にもたくさんのマラソン大会がありますが、もっともっとその街の特徴を活かせば、マラソンで「Yokoso!JAPAN」になるなぁと感じました。

(共同通信/2006年3月20日配信)

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