木原さんの生き方に敬服
東京の高層ビルから漏れる様々な光に包まれ、隅田川は美しい表情をしていました。木原光知子さん(スイミング・アドバイザー、元東京五輪日本代表)宅の窓から眺めた東京の夜景。「結婚祝いをさせてね」と、昨年から木原さんにお誘いを受け、ようやく念願が叶った夜でした。手作りのお料理を頂きながら、楽しい会話に花が咲き時間が経つのを忘れてしまいました。
実はお宅に伺う前に、木原さんが運営している“チャンネルマーククラブ・フィットネスメンバーズ”へ立ち寄ったのです。そこにはプールだけでなく、ジムやスタジオもあり、ヨガやストレッチ講座も受けられる充実ぶり。私はそのことに触れながら、(元スポーツ選手としてはパイオニアといえるくらい引退後に)経営者として成功している木原さんに、「どうしたらこんな生活を送れるんですか」と伺いました。木原さんは笑いながら「スポーツ選手って一途に競技に打ち込んだ後は、あまりビジネスのこと考えないわよね」と言い、19歳の時に石井好子さん(シャンソン歌手)と出逢ったことを話して下さったのです。その出逢いから20、30、40、50代のことをイメージし、目的意識を持つようになったそうです。木原さんは今でも翌日のことを考え、お酒も1、2杯。夜は12時前には休むということを徹底し、私とはだいぶ違うと思いました。そして今、「だいたいイメージしていた人生が送れているわね」とにっこり。
また、これからの10年、20年については、「五輪に出場した女性たちが幸せになるように応援したい。それと水泳競技への恩返しを続けなきゃ」と活き活きとした表情で話されるのでした。心に贅肉のない木原さんの凛々しい生き方。私は自分の10年後、20年後をイメージしながら、緩やかに流れる隅田川をじっと見つめました。
(共同通信/2006年4月17日配信)
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