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おしゃべり散歩道2006

触発された 強い目力

 ゴールデンウィーク直前、街を歩く人も空を泳ぐ鯉のぼりも嬉しそうな表情をしていた午後。乙武洋匡さん(スポーツライター)がパーソナリティを務めるラジオ番組に、私はゲストとしてお招きを受けました。「初めてお会いしたのは西武線の駅でしたね」と乙武さん。7年前の出来事を、屈託のない笑顔で話してくれました。私もはっきりと覚えています。駅で乙武さんを見かけ、初対面にも係わらず、つい親しげに声をかけたこと。あの時はちょうど“五体不満足”を読んだばかりで「障害は個性」と言い切る新鮮なメッセージと、両親や先生、友人たちを語るユーモラスな文章に心を打たれ、ファンとして会えたことがとても嬉しかったのです。
 ラジオの収録中、机を挟んで正面に座った乙武さんは、私の目を見て質問し、私の目を見て聞き入ります。その間一切机の上の原稿に目を落とすことがありません。番組の進行、私の著書や最近の活動までも事前に頭に入っています。そして話が横道に逸れても、それに合わせユーモアを交えながら次々に話を膨らませていく。何と頭の回転の速いことでしょう。
 「増田さんは小学校訪問もされていますよね。どうですか、子ども達の様子は」私は子ども達の体力低下の現状を知りたくて学校訪問を始めたことを話し、「一緒に走ってみると、体力よりも体のリズムをうまく引き出せない子どもが多いですね」と。「体のリズム?」と乙武さん。「はい、スキップが出来ない子どもがいます」それから私達は、昔は外遊びの中で飛んだり跳ねたり走ったり、自然にスキップが身についた話で盛り上がりました。乙武さんも新宿区の非常勤職員“子どもの生き方パートナー”として小学校を訪問しています。
 同じスポーツライターとして、私は乙武さんの一つの仕事に対する準備の徹底ぶり、面と向かった時の目の力の強さに触発されました。

(共同通信/2006年5月1日配信)

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