増田明美のホームページ ビデオメッセージへ各種お問い合わせへトップページへ

TOP > おしゃべり散歩道 > 2006年目次 > エッセイ第29回
プロフィール
おしゃべり散歩道
イベント情報
出演予定
執筆活動
リンク集

おしゃべり散歩道2006

一流選手と走る喜び

 青い空に大きく手を伸ばした木々がランナー達に緑の傘をさしてくれました。“スポーツ合宿の里”として知られる北海道・士別市。信号の少ない広い道路には走る選手のために距離表示がされ、美しい川沿いの遊歩道も朝練習にぴったりの風景。400mの全天候型グラウンドとクロスカントリーコースも完備されています。
 士別では6月から8月にかけて大学・実業団チームの長距離選手達が合宿を行い、その数はひと夏で延1万人を超えます。その最中、7月23日、第20回サフォークランド士別ハーフマラソンが開かれました。私はゲストランナーとして5qの部に参加。合宿で日焼けし体が引き締まった黒ヒョウのような選手の中に、ぽつりサフォーク(羊の一種)が紛れ込んだ恰好でした。
 さて、スタート地点で前に並ぶのは競技者、2列目からは市民ランナーの列が続きます。市民ランナー達からは「思ったより細いな」「かっこいい」と声が聞こえます。ワコール、日立、積水化学、セガサミー、中国電力など、普段テレビで観ている実業団の選手達に混ざって参加するので興奮を隠せない様子。中には100mだけでも一緒に走りたいと、全力で追いかける人もいました。私自身、スタートするや否やあっという間に小さくなる選手達の後ろ姿を見送りながら、その速さに驚きました。それは駅伝中継で移動車から感じる“速さ”以上のもの。走りながら、一流選手と市民ランナーが同じレースに参加できるスポーツはそう多くはないなと思いました。
 大会前日の開会式で、日本陸上競技連盟名誉副会長の帖佐寛章さんが、「制限時間を緩くして、より多くの市民ランナーが参加できるような大会を目指して欲しい」と挨拶されました。士別に限らず、日本の多くの大会は交通規制の関係で制限時間に限りがあります。ここがクリアできれば、多くの人が走ることを楽しみ、より豊かな気持ちになれると思います。

(共同通信/2006年7月24日配信)

次のエッセイを読む 【2006年の総合目次へ】 前のエッセイを読む


Copyright (C)2001-2021 Kiwaki-Office. All Rights Reserved.
サイト内の画像・文章等の転載・二次利用を禁じます。