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おしゃべり散歩道2006

ラジオ体操の歴史

 今年夏、旅番組で長崎県島原市を訪れた時のこと。朝食前に軽いジョギングをと、若い番組スタッフと一緒に島原城へ向かいました。武家屋敷の街並みの路地に湧水が流れ、蓮に覆われたお堀にはポツリポツリと花が咲き、歴史の街を漂わせる風景にうっとりとしたのです。すると城内から聞き覚えのあるピアノの音。「あ、ラジオ体操やってる」と音の聞こえる方向を目指して坂を上りました。そこで子どもからお年寄りまで100人以上の人々がラジオから流れる音に合わせラジオ体操を行っていたのです。懐かしい気持ちになり、ちょっと離れた木陰で私たちも一緒に体操を。体操後お話を伺うと、毎朝6時半からのラジオ放送に合わせ、散歩の帰り道に寄ったり、ラジオ体操を準備運動にしてその後ジョギングに行く人もいるそうです。みんなの触れ合いの場になっているのが素敵だなと思いました。
 そういえば私も子どもの頃、夏休みになると毎朝、首にスタンプカードをぶら下げて近所のお寺にラジオ体操に行ったものです。涼しい朝の風に触れ、大きく背伸びをして体を動かす。頭と体が目覚める1日の始まりであり、早起きの習慣が出来ました。
 幸いなことに先日、ラジオの仕事でラジオ体操のことを知る機会に恵まれました。現在のラジオ体操の生みの親は、ベルリン五輪に出場した体操選手の遠山喜一郎さん。“体操は流れが大事、間が大事”という考えのもと、1951年にラジオ体操第1、翌52年に第2がスタートしたようです。ところが最近は近所を見渡してもみんなでラジオ体操を、という習慣が少なくなっているように思います。“早寝・早起き・朝ご飯”と言われる今こそ、子どもと大人が一緒に体を動かすラジオ体操が大切なのではないでしょうか。
 島原で3日間参加したラジオ体操の健やかな風景に、55年の歴史を持つその意義を感じずにはいられませんでした。

(共同通信/2006年10月16日配信)

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