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おしゃべり散歩道2006

懐かしい仲間と再会

 風を切り裂くような横殴りの強い雨。赤や黄色に色付いた葉が風に舞い、選手たちの足音は一段と高く聞こえました。福島市信夫ヶ丘競技場を発着点に開かれた、第22回東日本女子駅伝。群馬県チームが16年ぶりの優勝に輝きました。地元福島も2位と検討。
 レース後、競技場に戻った選手たちは、室内練習場に置かれたストーブの周りで肩を寄せ合い、冷えた体を暖めていました。「寒かったね」と中学生の手を擦る実業団の先輩の姿や、労をねぎらう監督の言葉に目を輝かせる高校生の姿。私は年に一度、18都道県の中、高、大学生、実業団選手たちが集うこの大会を楽しみにしています。
 今年、千葉県チームを引率してきた長野(旧姓:染谷)和子さんは、私が中学生の頃から憧れる先輩でした。千葉県の名門進学校、東葛高校で学業も優秀、女子800mで県トップの成績。その凛々しいハチマキ姿を羨望の眼差しで見つめていた方との再会。「千葉県チームは小さくても頑張る子が多いんですよ。増田さん以来ずっとね」と長野さん。私たちは懐かしさにおしゃべりが止まらなくなりました。また、茨城県チームを引率してきた小川健二さんは、成田高校時代、陸上部監督のお宅に共に下宿生活をした同級生(小川さんは棒高跳び全国高校2位)。小川さんは「僕も長距離選手を教えるようになってさ」と、自分が教えている選手たちの様子を情熱たっぷりに話すのでした。
 一緒に頑張ってきた仲間たちが今、教員となり、目を輝かせながら若い生徒、選手を指導しています。中、高校で一生懸命陸上に打ち込んでいる選手は、学業の成績も良いと2人は口を揃えます。目標に向かう“意欲”がすべてに活かされるのでしょう。「やっぱりスポーツはいいよね」と私たち。
 黄色く色付いたグラウンドの脇の銀杏に目をやりながら時の流れを感じ、私も選手たちの頑張りを一生懸命伝えたいと力が沸いてきました。

(共同通信/2006年11月13日配信)

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