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おしゃべり散歩道2007

運動は自らを解放する

 「広い芝生と青空がごちそうです」。桜満開の頃、このキャッチフレーズに誘われて、東京ドイツ村(千葉県袖ヶ浦市)を家族で訪れました。千葉に暮らす両親と叔母夫婦とは現地で待ち合わせ。門をくぐると、目の前に広大な芝生の丘が現れ、「こんな素敵な場所があったんだねー」と皆、目を見張りました。芝生の周りをチューリップや菜の花など春の花々が囲んでいます。草の香りが漂う芝生では、空を見上げて寝転んでいる人や、素足で走り回る子ども、芝そりをする子どももいて、元気な声溢れる爽やかな光景でした。
 そんな姿を眺めながら“遊歩道”の看板に誘われ山道を歩き出すと、道沿いにクリスマスローズ、坂を下ると一面に水仙が咲き乱れ、ガーデニングが趣味の叔母の目がキラキラ。路面にウッドチップ(小さい木片)や細かい砂利が敷き詰められ、その柔らかさが脚に優しいのです。
 子どもが思う存分遊べる場所、そして大人も豊かな自然の中でウォーキングを楽しめる。私は副支配人に尋ねました。「この施設を作ろうと思ったきっかけは何だったんですか」。すると「オーナーが、自然の中で子どもを伸び伸びと育てるドイツの教育に心を打たれ、日本の子ども達にも自然の中で思いっきり遊べる場所が必要だと、ドイツの田園風景をイメージして作ったそうです」と副支配人。そういえば、ドイツは幼稚園発祥の地。英語のキンダーガーデンもドイツ語のキンダー(子ども)ガーテン(庭)からきています。
 私も委員を務める中央教育審議会では、子ども達の体力低下の現状を踏まえて、様々な意見が出されています。最近では“運動”は、体だけでなく、脳も育てる。また、よく動くことで程よく疲れ、睡眠時間をしっかり取ることができる、と生活習慣の面からも重視されています。
 このドイツ村で、子ども達が自由に体を動かす姿に触れ、“運動は自らを解放する”という意味でも大切なものだと感じました。

(共同通信/2007年4月16日配信)

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