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おしゃべり散歩道2010

古都を走る喜びに心躍る

 平城遷都1300年の今年は、各地で様々な行事が予定されています。1月10日、現地平城宮跡で最初に行われたのが「第26回平城京新春マラソン大会」です。全国から1,297人の参加者が集いました。ゲストランナーとしてお招きを受けた私は、特別な場所を走っているという喜びと、手作り感あふれる運営に新年から心が躍りました。開会式は広場の端の盛り土をステージ代わりにしたのどかなもので、コースは平城宮内一周2.5キロ。4周する10キロの部のランナーには4本の輪ゴムが配られました。大会長の源邦夫さんは「最初の頃は1周毎に輪ゴムを手渡していましたが、とても追いつかなくなったので、1周毎にランナーが外していく自己責任型に変えました」と。全ランナーの記録計測もすべて手動によるものです。今、当たり前のようにチップを胸やシューズに付けてコンピューターで自動的に計測する大会が多い中、手動計測は珍しいのです。四半世紀前から奈良市民走ろう会の皆さんの努力で続けられていることに頭が下がります。
 優しい表情の若草山や遠くに生駒山が見守る中、復元された朱雀門や大極殿を眺めながら10キロを走り、穏やかな気持ちになりました。「毎年走り初めはここだよ」と大阪から参加したランナーの声にも納得です。レース後、「写真撮影を希望される方は並んでください」という声の先には長蛇の列。私の人気もなかなかだと思っていたら、その列の先頭には“せんとくん”の姿が。テレビの印象よりもずっと華奢で可愛らしかったです。
 この日、今を力強く生きる新春の足音が平城京に響きました。急げ急げという時代の中で、私は人と人との触れ合いから生まれる大切なものを教えて頂きました。

(共同通信/2010年1月18日配信)

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