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おしゃべり散歩道2010

伝統の誇りと郷土愛

 桃太郎の故郷・岡山県は女子陸上長距離界の故郷とも言える場所です。日本女性で初めて五輪でメダルを獲得(800m)した人見絹枝さんが誕生し、同郷の有森裕子さんがそれに続きました。そして、今年の都道府県対抗女子駅伝では、その誇りを花開かせるかのように、岡山県チームが初優勝に輝いたのです。柱となったのは地元、天満屋チームと興譲館高校。両チームは共に、その1週間後に開催された北九州選抜女子駅伝でも天満屋1位、興譲館2位と大活躍でした。その大会は、実業団と高校のトップクラスのチームが一堂に会して同じコースで競い合うという珍しいもの。多くの実業団チームを抑えて2位となった興譲館高校の選手たちを、私は移動中継車の中から見て興奮しました。何故ならどの選手も体の軸が安定し、腕ふりは体の軸に従うように真っ直ぐ。白いハチマキの姿の凛とした走りが素敵だったのです。
 大会前日に北九州市の手向山公園まで走りに行きました。そこから、宮本武蔵と佐々木小次郎が決闘した巌流島が見え、公園には武蔵の養子・伊織が父を忍んで建立した碑も。興譲館の選手達に、私は心の中でそっと女・宮本武蔵とあだ名をつけました。そしてレース後、監督の森政芳寿さんにお話を伺うと「ウォーミングアップで毎日、競歩の動きを約10分間行います」と。多分、この練習が体の基礎を確かなものとし、美しいフォームを作り上げているのでしょう。また、森政さんは興譲館からできるだけ天満屋に選手を入社させたいと考えているようです。「高校、実業団と一緒に地元で強くなりたい。天満屋さんとはよく合宿もやらせて頂いています」と。歴史が育むプライドと郷土愛に、岡山の強さの理由を感じました。

(共同通信/2010年1月25日配信)

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