維持と度胸の九電工
度胸千両、無法松の一生の舞台・小倉はこの日、女の舞台に。坂本冬美さんの歌「あばれ太鼓」のように激しく美しい舞台となりました。1月23日、第22回選抜女子駅伝北九州大会が開催され、昨年の全国高校駅伝、全国大学駅伝、全日本実業団女子駅伝の優勝チーム、興譲館高校と佛教大学と天満屋が顔を揃えたのです。彼女たちが同じコースで戦うのは珍しいこと。5人で走る大学、実業団に対し、6人で走る高校生の思い切りのいい走りが目立ち、立命館宇治高校は実業団チームに交じり一時はトップに。総合2位と堂々たる成績を収めました。
1区から天満屋の小原怜さんは実業団としての意地をみせ独走に。そして2区以降トップにたったのは九電工でした。3区を走った奥永美香さんは区間賞を取る力走。後半、優勝した三井住友海上と天満屋に逆転されたものの見せ場を作りました。前日の取材で感じたのは九電工チームに流れる緊張感。選手たちが冗談を交えながらも「私たちが明日がんばらなければ監督がクビになっちゃいます」と気持ちを一つにしていました。
チームは昨年の西日本実業団女子駅伝で10位に終わり、19年連続で出場していた全国大会への切符を逃しました。男子陸上部は1月10日の朝日駅伝で優勝。男女ともに陸上部を持つ会社は稀で陸上競技に貢献しています。でも、全国大会に出られないとなると存続に対しての危機感があるのでしょう。それはチームの指導者が一番責任を問わることに。当の片渕博文監督は「この位の緊張感があったほうが選手たちは頑張れますよ」と話します。「あとへはひかぬ、意地と度胸の勇み駒」。あばれ太鼓の歌詞が心に染みた大会でした。
(共同通信/2011年1月24日配信)
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