被災した実業団チーム
東北地方太平洋沖地震が起きた丁度その時、私は東京の自宅にいました。棚の上からどさーっと本や資料が崩れ落ち、横揺れがどんどん激しさを増す中、とっさにテーブルの下に身を縮めました。初めて経験した大きな揺れは恐ろしいほど長く感じられ、一瞬覚悟をしました。ようやく落ち着き、夫や千葉の実家に電話をしても全く通じません。テレビで大津波警報を観て、太平洋の海岸線から5kmほどの距離にある外房の実家が心配でたまりませんでした。7時間後に夫にも両親にも連絡が取れましたが、その時間の何と長かったことでしょう。被災地では安否を確認できない時間が何日にもわたっていることを考えると、心が痛みます。
宮城県大崎市に本拠地を置く日本ケミコンという陸上実業団チームがあります。監督の泉田利治さんは、いつも周りの人々を幸せにする朗らかな人。テレビで被害の状況が流れる度に心配で何度も電話をかけましたが、3日目になっても繋がりません。チームの中には名古屋国際女子マラソン(中止)を走る予定だった町田祐子さんも。彼女は2月22日に、日本陸連の合同合宿でニュージーランド・クライストチャーチに滞在中に大地震に遭遇しました。町田さんを含め選手たちは大丈夫だろうか?3日目の夜に東京在住のチーム関係者と電話がつながり、「やっと泉田と連絡が取れました。選手は伊豆で合宿中で、監督は会社にいたため難を逃れました」と。災害時の安否確認がどれほど大事かを思い知らされました。
外国から救援隊が続々と日本に到着しています。今は被害に遭った人の無事を祈ることしか出来ませんが、動きが取れるようになったら、出来る範囲で復興の応援をしていきたいと思います。
(共同通信/2011年3月14日配信)
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