できる範囲で何かを
春の選抜高校野球で素晴らしい選手宣誓をし話題となった創志学園の野山慎介主将。私もテレビを観ていてあれほど心に響いた宣誓はありませんでした。精進の日々が鋭い目や話し方に表れていると感じました。その翌日、その感動を引き連れながら福島県双葉町から避難している友人を訪ね、さいたまスーパーアリーナへ。
約3000人が生活していると聞いていたので、広いアリーナ部分に皆さんがいるのかと思いきや、そうではなく2階と4、5階の通路部分に居住空間を作っていました。散髪屋さん、埼玉県の相談窓口、ハローワークもあり、ひとつの小さな町のようです。「この前浦和レッズと大宮アルディージャの選手と一緒にサッカーしたんだよ」と知人のお孫さん。避難所にはたくさんの子ども達がいるので、その経験は輝くものだったようです。私も自分に出来る範囲で何かをしようと強く感じました。知人の話によると、ご飯を食べ終わるとゴミを取りに来てくれるし、洗濯物は下着まで洗ってくれるとのこと。ボランティアの方々の至れり尽くせりの対応に感謝しながら「でも甘やかされ過ぎてはいけないわ」と話すのでした。
ただ避難所も色々です。翌日、福島県いわき市へ。地震のひと月前にマラソン大会で伺った時のスタート地点には自衛隊のテントがずらりと並び、プール横の建物は遺体安置所に。近くの高校の体育館の避難所に約150人が生活していました。入口付近に警官の姿があり、ご遺体の写真を数枚広げるのを食い入るように見つめる人達の言いようのない悲しい表情を目の当たりにしました。暫くしてからまたお邪魔し、その時は一緒に元気よく体を動かしたいと思います。
(共同通信/2011年3月28日配信)
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