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おしゃべり散歩道2011

地域に根ざす陸上部

 朝顔の蕾の膨らみに盛夏の足音が感じられた6月末、熊本へ。熊本の街はジョギングする人の心を躍らせます。朝、熊本城二の丸公園を周回し、藤崎台の千年クスノキ群の木陰から開業して間もない九州新幹線を眺め、肥後手まり唄で有名な船場山の狸の銅像に会い、白川の堤防へ。
 肥後銀行の組合主催の講演会にお招きを受け伺いました。同銀行は4月に女子駅伝部を創部。この日、講演後に水前寺競技場で行われた国体2次予選を応援に行くと、女子1500mで肥後銀行の蓮池杏奈さんが自己ベストで優勝。「本当に一歩一歩なんです」と監督の飛瀬貴子さん(97年のアテネ世界陸上女子マラソン日本代表)はホッとした様子で話しました。彼女は元競技者とは思えない奥ゆかしい女性です。そんな人柄からでしょう。陸上競技協会の方や、中学、高校の監督さんたちが「飛瀬さん、自信を持って頑張りなさいよ」「いつでも相談にきてよ」と皆が気にしている様子が微笑ましかったです。押しが弱い飛瀬さんは、皆が支えてあげたくなる新しいタイプの監督といえるかもしれません。
 その日の夜、女子駅伝部長の竹下元久さんと飛瀬さんと市内で食事を。竹下さんは慶應義塾大学陸上部で長距離に取り組んでいらした方で、「僕は陸上オタクなんです」とにっこり。杯を酌み交しお話を伺っていると、地元の選手達に活躍の場を提供したいという熱い思いが伝わりました。熊本の陸上競技は中学生も高校生もハイレベル。でも、長距離の女子実業団はニコニコ堂が廃部になり、9年前にラララとNEC九州が活動を休止。地元経済界の雄である銀行の大きな受け皿が、これから子ども達の夢を応援してくれそうです。

(共同通信/2011年6月27日配信)

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