マラソンで”神7”目指す
6月の日本陸上競技選手権女子5000mで優勝した絹川愛さんが、3週間後の札幌国際ハーフマラソンに初挑戦。世界選手権が近いので無謀ではないかという関係者からの声もありましたが、「絹川という人間が持っているスタミナを試したい」と渡辺高夫コーチは話し、出場を決めたのです。これまで彼女はロードで長い距離を走る練習を殆どしていません。
ところがレースは一般参加で走りながら日本人トップの3位でゴール。27℃を超える暑さの中、1時間12分22秒というタイムも見事でした。美しい容姿に美しいランニングフォーム。そしてゴール後のインタビューでは「マラソン候補生にはなれたかな。これからAKBのように本メンバーになり、神7を目指します」と、言葉にも華がある絹川さんです。
レース前日、札幌のホテルのロビーで彼女と渡辺コーチと話しました。絹川さんは高校生で日本代表を経験し、注目されるストレスから2年半という長い時間、表舞台に出ることが出来ませんでした。今夏の復活の裏には地道な努力がありました。歩くことすらままならない状態の時期も含め、一度も練習を休むことがなかったそうです。「2回だけ5分位遅刻したかな」と渡辺さんは笑います。絹川さんに練習を続けられた理由を尋ねると「私がだめになりそうな時もコーチが諦めなかったからです」と。
「女性は一気にいかないといけない」と話す渡辺さん。徐々に距離を伸ばすのではなく、「適性があれば一気に距離を伸ばすほうがいい」と。世界選手権で5000mに出場した後、秋以降にマラソンチャレンジを考えています。ロンドン五輪に向けて、新しいヒロインの誕生を思わせる札幌でした。
(共同通信/2011年7月4日配信)
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