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おしゃべり散歩道2011

毎日全力、市民ランナーの星

 「市民ランナーの星」といわれる川内優輝さん(埼玉県庁)が8月下旬から開催されるテグ陸上世界選手権に向けて順調な仕上がりをみせています。7月24日に北海道士別市で行われたハーフマラソンに参加。猛暑の中、実業団選手に交じり1時間6分台で4位に。マラソンの走り込み真っ只中の状態でこの記録は上出来です。それでも「前半、トップ集団につきましたが、後半粘り切れなかったのが課題です」と川内さん。
 士別の大会へ向けて、前日の土曜日に旭川入り。当日早朝に旭川から一人でJRで士別に向かう予定でした。しかし、ちょっとした勘違いで列車に乗り遅れ、次の列車までが約2時間。スタート時間に間に合わないのでタクシーに乗り1時間かけて会場に到着したのです。レース後川内さんは「一万円かかってしまいましたが、今日はいい練習になったので、もとが取れました」と笑顔で話すのでした。いかにも市民ランナーらしい出来事です。
 それにしても川内さんは話をする時には直立不動。レースでの一心不乱な走りも相まって、一時代前のランナーのような雰囲気です。士別ではゆっくりお話しすることが出来、子どもの頃のことを伺うと、小学生時代の6年間、毎日放課後に自宅の周り1.5kmを全力で走っていたそうです。「低学年の頃は母も一緒に走りましたが、高学年になると追い付かなくなり自転車で伴走してくれました」と。川内さんの毎日全力という姿勢はこの頃育まれたものかもしれません。レースでも毎回力を出し尽くし、倒れ込むようにゴールする姿に心を打たれます。世界選手権では勝ち負けだけはなく、マラソンに表れる川内さんの生き様をみて欲しいと思います。

(共同通信/2011年7月25日配信)

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