合同合宿の厳しさ
小高い丘の上にある陸上競技場には「合宿の里士別へようこそ。挑戦、士別から世界へ」と書かれた大きな看板。そこに約50人の選手達の足音が染み込むようでした。8月1日から10日まで行われた日本実業団連盟による女子長距離・マラソン合宿。中ほどの4日間取材で訪れた私は、その練習の厳しさに度肝を抜かれました。
朝6時前に宿舎へ。えっ?集合時間20分前だというのに天満屋、京セラ、十八銀行等々、女子駅伝でも活躍するチームの選手達が勢揃いし、個々に走っています。毎朝1キロ4分という本練習並みの速いペースで2班に分かれて15km走るので、ウォーミングアップを行っていたのだと後から気付きました。「今、親の言うこともきかない若者も多いのに、えらいねー。まるで軍隊みたいだよ」と地元の方も毎日決まった時間に揃って練習する姿に驚いている様子でした。
午後の本練習は3チームに分かれ、片道5kmの道路をスピードに変化をつけながら6往復するもの。置いて行かれまいと過呼吸寸前で必死に喰らいつく新人選手も。沿道では様々なチームの監督達が協力しながら給水を渡します。翌々日、今度は1周400mの競技場で3チームに分かれ60周。3000/3000/2000/2000/1000/1000mと6つに区切ってスピードを変え、それを2セット。荒い息づかい、トラックには流れ落ちた汗で線が。それはそれは壮絶な風景でした。「アフリカや欧州のスピードある選手と戦うには、決して一人ではできない練習を仲間と一緒に乗り越えていくのが大事なのです」と武冨豊強化副委員長(天満屋監督)。個人種目の陸上競技ですが、チーム力、日本力で世界に挑もうとする姿に胸が熱くなりました。
(共同通信/2011年8月8日配信)
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