復興への歌声
金木犀の甘い香りが漂う中、広大な北上川を眺めながら石巻市立北上中学校へ向かいました。この日、日産自動車がサポートする被災地支援コンサートで、ヴォーカルグループ「サーカス」の皆さんと共に北上中学校へお邪魔したのです。学校の隣に仮設住宅が並び、そこから通う生徒もいました。体育館に入ると百人程の生徒と住民の皆さんから大きな拍手が。
すると「皆さん、サーカスが来るって聞いて、ライオンや熊が来るかと思ったでしょう」とリーダーの叶高さん。会場は一気に笑いに包まれ和やかな雰囲気になりました。「今日は音楽とスポーツのコラボでお楽しみくださいね」と話した後、中学生にも親しみがある最近の曲を美しいハーモニーで歌ってくれたのです。4年前に発表した「家族写真」という曲は家族の絆を歌ったもの。涙ぐむ人、口元を緩ませる人など色々で、生で聴く透明感のある歌声は心のひだに優しい風がそよぐようでした。その後私は体をほぐす軽い体操を行いました。そして最後に「みなもと遠く 流れよる、北上川の岸辺、きよら」と北上中学校の校歌を全員で元気よく合唱。つくづく音楽とスポーツの組み合わせは共に心が弾み、いいものだなと感じたのです。
午後は宮城県立多賀城高校へ。「大人しい生徒が多いので本番で力を発揮する秘訣をお話ししてください」と校長先生。私は普段から恥をかくことを怖がらないで、勇気をもって挑戦する場数をたくさん踏んで欲しいと話しました。コンサートの後、陸上部の皆さんと懇談。「駅伝大会が近いのですが、今何を心掛けたらいいですか」と聞かれ、「ケンカをしないこと。駅伝もハーモニーだよ」と答えると、皆笑いました。
(共同通信/2011年10月7日配信)
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