腹痛こらえシカゴで激走
久しぶりに10月10日が体育の日。その前日に行われたシカゴマラソンで日本女子長距離界の女王、福士加代子さんが2時間24分38秒の好記録で3位に入りました。優勝したロシアのショブホワさんは2時間18分20秒という世界歴代2位の記録でしたが、福士さんは25qまでハイスピードのショブホワさんについていったのです。ハーフの通過が1時間9分25秒。これは福士さんのトラックで培われたスピードがあるからこそ出来ることです。
おめでとうございますと監督の永山忠幸さんに電話すると「ありがとうございます。“完走おめでとう”ってことですよね」と笑いました。というのも福士さんは3年半前、初マラソンの大阪国際で終盤大失速をしてしまったからです。永山さんの話によると、シカゴでは給水を摂り過ぎたこともあり20q手前から腹痛を起こしたそうです。福士さんは走りながらトイレを探しましたが見逃し通り過ぎてばかり。約80分間葛藤をしながらの激走。ゴールすると待っていた日本陸連顧問の帖佐寛章さんの前を一気に走り抜けトイレへ直行しましたが、それも笑い話になったようです。私も経験がありますが、トイレを我慢しながらのレースは集中できず気持ちも消耗します。
「トイレの心配がなかったらもっとショブホワさんについていけましたね」と私が話すと「そんなこと言ったらマラソンはキリがないですよ」と永山さん。でも福士さんは自信をつけたようです。「1回目、2回目が不完全燃焼なので、3回目はたぶんバッチシですよ〜」と明るく話しました。ロンドン五輪へマラソンでチャレンジするのは言うまでもありませんが、どこの選考会を走るのか今から目が離せません。
(共同通信/2011年10月17日配信)
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