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おしゃべり散歩道2011

ダイナミックな走り復活

 玄界灘から吹く海風を切り裂くような走りで野口みずきさんが完全復活をしました。10月23日に行われた実業団女子駅伝西日本大会で所属するシスメックスチームの3区(10.2km)を激走。2位に17秒差のトップで貰ったタスキを1分7秒差にして四区につないだのです。5kmの通過タイムは15分24秒と凄い速さ。私は移動中継車からその走りをみつめ体が震えました。
 というのも、最初からガンガンと全身でスピードを生み出すダイナミックな走りは、野口さんの一番良かった時と変わらなかったからです。そして一点を見つめる一途な目からは、長引いた脚の故障により走りたくても走れなかった、もどかしさを爆発させるような気迫が伝わってきました。
 レース後、「やっと自分らしい走りができました。」と野口さん。本人はそんなに速く走っている実感がなかったらしく、「腕時計が間違っているかと思いました」とお茶目に言って関係者を笑わせたのです。 昨年はこの大会で快走し全日本に出場したものの、全日本ではレース中に高熱を出し不調だった野口さん。今年も7月の札幌国際ハーフに出場予定でしたが、直前に脚に痛みを生じ取りやめに。その長い間「よく気持ちが萎えなかったね」と尋ねると、「北京五輪のスタートラインに立てなかった悔しさと、大事な人たちに恩返しをしたいという気持ちがあったから走り続けることが出来ました」と答えました。また、日本の女子マラソンが低迷気味なことも野口さんのやる気に火をつけたようです。
 これから、アメリカの高地でマラソン合宿に入り、ロンドン五輪の選考となる大阪国際女子マラソンを目指すとのこと。長旅を終え、女王が帰ってきました。

(共同通信/2011年10月24日配信)

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