若き日本代表
秋から冬にかけて駅伝大会多しといえども、男女が襷をつなぐロマンチックな国際大会はここだけです。勤労感謝の日に行われた国際千葉駅伝。10カ国12チームで競い合い、10代男子の走力が光ったケニアが優勝しました。私は選手たちが滞在する千葉県の日本エアロビクスセンターに2日間滞在して取材を。箱根駅伝でライバル校のエース同志が同じテーブルで食事をし会話を楽しんだり、日本のトップ選手がロシアの選手と語り合ったり。緊張感の中にも和気あいあいとした雰囲気がありました。私の隣のテーブルで日本代表の小林祐梨子さんが食事をしていると突然ケニアの男子選手が同じテーブルに座り、ニコニコしながら食事を始めました。小林さんは驚き、会社のチームメイトのアン・カリンジさんに電話をかけ通訳してもらうと「あなたのこと好きなんだって」とアンアさんは言い、小林さんは顔を赤らめました。
小林さんは今年3月岡山大学を首席で卒業。総代で挨拶をするという文武両道の人です。また日本代表となる選手の個性は輝いています。アンカーを区間新記録で走った新谷仁美さんは小出義雄さんのもと、5000mでテグ世界選手権に出場。来年にロンドン五輪を控え「そろそろマラソンかな」と私が尋ねると、「とんでもないですよ。ロンドン五輪の頃は友人とバーベキューしているかもしれません」と明るく話すのでした。新谷さんは高校時代から能力を高く買われ、日本女子長距離界の至宝だと言われています。小出さんも会う度に新谷さんの魅力を話しますが、賢い彼女は自分にプレッシャーをかけないよう、期待からスルリと抜け出しているようなのです。若い力が躍動しています。
(共同通信/2011年11月28日配信)
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