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おしゃべり散歩道2011

成長し続ける野口さん

 天皇誕生日に、晴れ渡る青空のもと行われた山陽女子ロードレース大会。岡山が産んだ至宝、人見絹枝さんと有森裕子さんの名前が冠され、また第30回の記念大会とあり、出場選手の顔触れは豪華でした。野口みずきさん、赤羽有紀子さんをはじめ、まるでロンドン五輪の前哨戦。来年1月に控える大阪国際女子マラソンを走る野口さんの最後のテストランということもあり、記者会見場はたくさんの報道関係者で入り切れないほどでした。「私も有森さんのように名前が付く大会を作って頂けるよう頑張りたい」とレース前に野口さん。
 レースは最初から先頭に立った野口さんが主導権を握り、速いペースに。9キロ過ぎで先頭は赤羽さんに代わり、13キロ手前でスパートするとそのまま大会新記録(1時間9分16秒)で優勝。赤羽さんは一段と強くなった感がありました。そして5位でゴールした野口さんも1時間10分48秒。マラソンを1ヶ月後に控え、走り込み真っただ中の疲労が溜った状態では上出来といえます。
 「本当は勝って明日からのボルダー合宿に入りたかったのですが残念。でも課題も見えました」とレース後明るく話す野口さん。「負けたことは悔しいけれど、この3年間走れなかった苦しみに比べれば大したことはありません」と。私はこんな野口さんの発言に心の中で拍手を贈っていました。5位に終わったことをいろいろと質問される前に明るく前向きに跳ねのける強さが身についていたからです。北京五輪の前はメディアとのやり取りで一喜一憂していました。足の故障による長い苦悩の時期を乗り越え、再び五輪に挑もうとする野口さん。これを人間力というのかもしれません。

(共同通信/2011年12月26日配信)

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