柏原さんの郷土愛
2月12日、福島県いわき市で開催された第3回いわきサンシャインマラソンは、寒風を人々の熱気が打ち破るような大会に。開会式で「震災から復興する“いわき”を象徴する大会にしたい」と渡辺敬夫市長が力強くご挨拶。観光庁長官の溝畑宏さんも応援にいらっしゃり、いわきの美味しいお米を象徴するおにぎりの帽子を被って走りました。私は昨年大漁旗を振って応援して頂いたことを思い出し、今年は私が大漁旗を振る様に元気に復興を願って走るぞ!と心に決めたのです。
同じゲストランナーとして、いわき市出身の柏原竜二さんと共にフルマラソンの部に参加。共に8キロまで。スタート前「僕はゆっくりいきますから」と柏原さんが言うので「じゃあ、ついていくね」と私。ところが彼はスタートすると風のように去り見えなくなってしまったのです。沿道には人、人、人。小中学生や家族連れ、病院から出てきて車椅子で応援して下さる人も。大漁旗の数も増えました。「ありがとう」「お互いがんばっぺ」と書かれた横断幕もあり、涙がこぼれました。後で大会関係者に伺うと、震災後いわき市は避難してきた人や復旧作業に関わる人で2万人位人口が増えているそうです。たくさんの声援を受け、周りのランナーの中にはわざわざ沿道のそばまで行って「がんばっぺね」「ありがとう」と握手をしたり、声をかけたりする人も少なくなかったのです。心が通い合う温かい道でした。8キロ地点では、柏原さんがランナー達に握手やハイタッチをする姿が。彼は約1時間もそうしていて、「僕に出来ることでいわきを応援したい」と話しました。一人一人のこんな思いが復興を近づけるのだと感じました。
(共同通信/2012年2月13日配信)
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