赤いひもでつながって
ひな祭の日、青空に丹沢山系の稜線を眺めながら日産テクニカルセンターへ(厚木市・伊勢原市)。第1回日産ふれあいロードレース大会にお邪魔しました。「目の不自由な人たちが安心して参加できる大会を開こうを思いまして」と、日産自動車元陸上部監督の加藤宏純さんから連絡を頂いたからです。秘密基地を思わせるようなゲートを抜け、敷地に入るとまるで緑豊かな公園のよう。普段は決して入ることが出来ない所です。
アトランタパラリンピックマラソン金メダリストの柳川晴己さんは「盲人が走れる大会って案外少ないんですよ。本当にありがたいです」と。そして会場には盲人ランナーだけではなく、可愛らしいお内裏様とお雛様を思わせるような子ども達がいっぱい。地元の親子連れの参加者が多く、約300名が集いました。親子マラソンの参加者は皆赤い紐を持っています。これは普段、盲人ランナーを伴走する時に使うもので、今回は2kmの親子マラソンでもこの紐を2人で持って走りました。「呼吸を合わせ、声を掛け合いながら走るんですよ。相手のことを思いやる気持ちを持ってね」と盲人マラソン協会の人からアドバイス。でも実際走り始めると、子どもに引っ張られるお父さんの姿もあり、笑いが起こりました。
神奈川県内で活躍するパナソニックの選手3名が赤い紐を手に伴走ボランティアで参加。また運営には日産自動車社員や厚木、伊勢原の陸上競技協会の方々が。加えて地元の松陰大学、秦野高校の陸上部員もお手伝い。爽やかな汗と共に、家族のふれあい、地域のふれあい、盲人と健常者のふれあいが深まります。赤い紐の心が皆をつなぐ、桃花の香りが届くような温かな大会でした。
(共同通信/2012年3月5日配信)
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