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おしゃべり散歩道2012

仮設住宅での運動と笑い

 真っ白い辛夷の花が天に向かって咲いた3月末、千葉県旭市へ。東日本大震災の被災地は福島、宮城、岩手が取り上げられますが、茨城や千葉の太平洋岸も津波で大きな被害を受けました。旭市飯岡地区には7.6mの津波が押し寄せ、13人が亡くなり318棟が全壊。海岸に行ってみると、今も土台だけを残した住宅地が目立ちます。この日、飯岡地区にある150棟の仮設住宅を、旭市在住で糖尿病専門医の外口徳美致さんと訪れました。 
 集会所では30人ほどの皆さんが牛乳瓶に生けられた野花と共に迎えて下さり、「運動していますか」と私が尋ねると「この脚だからね」と80歳過ぎの女性が椅子に座ったままニッコリ。すると外口さんが「おばあちゃん、椅子に座ったままでもこんな運動が出来るよ」と座ったまま太ももを上げるお尻歩きを紹介。男女共に60代から80代の皆さんとやってみるとお尻の筋肉が喜ぶように動くのでした。私はウオーキングの悪いお手本を紹介。男性がガニ股で歩いたり、女性は背中を丸めてトボトボ歩いたり。皆大笑い。すると「この笑いがいいんですよ」と外口さんは言い、それから糖尿病漫談が始まりました。「新婚当時は“あなた”と甘え、今じゃ糖尿病で“トウさん”だって」等々、ダジャレのオンパレードに笑いの花が咲いたのです。血糖値は食べ始めから1時間後に急激に上がるので、お昼を12時に食べたら1時から歩くことが良いことなど、知識もしっかり学べました。
 その後、仮設住宅の建つ公園の周りを歩きながら「漫談は面白かったね」「みんなで歩くと楽しいね」という声が聞こえました。“笑う門には福来る”。これからも一緒に触れ合う時間を大切にしたいと思います。

(共同通信/2012年4月2日配信)

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