母の日に最高の贈り物
花屋の店先のカーネションがけやき並木を抜ける初夏の風に揺れていました。5月13日、母の日に開催された仙台国際ハーフマラソン。昨年は東日本大震災の影響で中止になりましたが、今年は市民化と共にコースもリニューアル。スタートラインで1万3000人の市民ランナーの先頭に立ったのは藤原新さんと川内優輝さんです。今、最も人気の二人とあり、ランナーたちは握手を求め、沿道にもたくさんの人が詰め掛けました。
前日の記者会見で藤原さんは「ロンドン五輪に向け、カリフォルニアで合宿した成果を確かめることがこの大会の目的です」と。一方、川内さんは「公務員なので海外合宿は無理ですが、今年もたくさんレースに出場して力を付けたい」と話しました。スマートな中に野性味を感じる藤原さん、野武士のような川内さん。タイプが違う2人ですが、自分流を貫くところは共通しています。
レースは序盤から飛び出したマイナさんとダニエルさん(共にケニア出身・富士通)に川内さんが顔を歪めながら積極的につきました。しかしその後十数人の日本選手に追い付かれ3位集団を形成。その中から藤原さんがすーっと飛び出し、川内さんが追随。終盤、藤原さんがキレのあるスパートでダニエルさんをかわして2位、川内さんは4位でゴール。迫力あるレースでした。
今回、大会側の計らいで川内さんのお母さん美加さんも仙台に同行していました。若々しく明るい方で、優輝さんの子ども時代を尋ねると「小さい頃からオヤジみたいでした。温泉が好きだし、話す内容もオヤジっぽかったんです」と。私は大笑いしてしまいました。川内さんの走りが最高の母の日の贈り物になったと思います。
(共同通信/2012年5月14日配信)
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