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おしゃべり散歩道2012

盲人走者の伴走務めた吉川さん

 近畿地方が梅雨入りをした6月8日、日本陸上競技選手権が開幕。初日の女子1万mは降り続く雨の中で福士加代子さん(30歳・ワコール)と吉川美香さん(27歳・パナソニック)が、熾烈な戦いを繰り広げました。スタートして福士さんがハイペースでとばし、そこにピタっと吉川さんがつき、二人が世界レベルの速さで一騎打ち。残り1000mでスパートした吉川さんが五輪参加資格のA標準記録を切って五輪代表に内定。スタンドは沸きました。
 吉川さんは2006年から2010年まで1500mで日本選手権を5連覇。スピードランナーです。その後徐々に距離を伸ばし、今年2月の丸亀ハーフマラソンでは自己ベストを更新しました。一線級の競技者ですが、ボランティア活動を進んで行う選手です。3月にも神奈川県内で行われた盲人ランナー主体の大会で伴走を務めました。赤い紐を持ちながら「曲がり角や路面の様子を言葉でしっかり説明しないといけないので難しいですね」と話し、伴走の事を一生懸命学ぼうとする姿に私は感動しました。自分が生まれ育ち、現在も練習する地元の役に立ちたいと思う気持ちが強い人です。
 そんな吉川さんの五輪内定に貢献したのは、ハイペースで引っ張った福士さんでしょう。レース後「負けたよー」と笑顔で吉川さんに話した福士さん。今年1月の大阪国際女子マラソンで期待されながら後半失速。マラソンでの五輪代表を逃しましたが、早くに気持ちを切り替えて1万mと5000mに挑戦したのです。福士さんは人の胸を借りずに常に先頭を走ります。そんな威風堂々とした走りで世界との距離を縮めてきました。人間性の素晴らしい二人のロンドン五輪がとても楽しみです。

(共同通信/2012年6月11日配信)

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