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おしゃべり散歩道2012

次の目標へ向かい始動

 大通公園の真っ赤なバラ「オリンピックファイヤー」が満開だった7月1日、札幌国際ハーフマラソンが開催されました。ロンドン五輪男子マラソン日本代表の藤原新さんと山本亮さんが揃って出場。「1時間1分台で走れたら上出来。1時間2分45秒で合格点」とレース前に話した藤原さんは強風の中、1時間2分48秒の日本人トップでゴールイン。山本さんも走り込み練習最中で1時間3分48秒。共に五輪に向け順調です。
 女子は5位に入った赤羽有紀子さんの走りが印象的でした。五輪代表の補欠が2日前に解除され、次の目標へ向けての新しいスタートを切ったのです。赤羽さんは今、来夏のモスクワ世界選手権に照準を合わせています。ここに来るまでの道のりは険しいものでした。五輪選考レースとなった3月の名古屋(8位)から約4カ月。一度は目標を見失い、夫でコーチの周平さんは初めは慰めていましたが、次第に叱咤に変わったそうです。
 ある日の練習で周平さんが6歳の娘、優苗ちゃんと一緒に車で伴走。しかし、有紀子さんのやる気のなさに練習をストップさせました。すると翌日優苗ちゃんが「ママ、今日は止められないようにね」と。そんなことの積み重ねで徐々に次の目標へ心も動き始めたのです。
 レースでは序盤で先頭集団から離され10位以下に落ちたものの、8キロ過ぎから壮絶な追い上げをみせ、5位でゴール。その姿は「最後まで諦めてはいけない」という競技人生そのものでした。レース後に話を伺うと、走り始めに右の太ももがつってしまったようです。「原因をしっかり解決して、次の目標に向かいたい」と話す有紀子さんの姿は爽やか。一山越えた強さを感じました。

(共同通信/2012年7月2日配信)

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