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おしゃべり散歩道2012

士別での出会い支えに

 そばの白い花が揺れる北海道で、暑さを避け多くの陸上実業団チームが合宿を行っています。士別市、網走市、深川市、千歳市、新得町、別海町など道内各地。7月22日、合宿の成果を試そうと、士別ハーフマラソンに選手たちが参加しました。合宿中の疲れが溜まった状態で一生懸命に走る姿は、来夏のモスクワ世界選手権に向けて動き出している若い芽のよう。ゲストランナーとして参加した私はその勢いに感動しました。
 この大会は制限時間が厳しいために仮装などで参加する遊び心を持った人はほとんどいません。実業団選手と一緒に走れる喜びを感じながらゴールを目指す人が多いのです。この日、ハーフの部で優勝した伊藤舞さん(大塚製薬)や10キロの部で優勝した五十嵐藍さん(シスメックス)の表彰式にはランナーと共に市民のみなさんが大勢集まりました。皆さん、未来の日本代表選手を写真に収めよう必死。ロンドン五輪女子マラソン代表の木ア良子さんは、まだ無名の頃にこの大会で優勝。その時、士別で木アさんの走りを見ていた人は日本代表にまで成長した娘を見守るような気持ちで応援しています。市民と実業団選手たちが一体化している空気がステキなのです。
 実は木アさんは士別合宿中に出会った酒井啓達君(8)と蓮君(6)兄弟と文通をしています。どんなに練習が苦しい時も二人が送ってくれる似顔絵や励ましの手紙に勇気をもらい、頑張ることが出来ると言います。そして兄弟もテレビで応援しながら画面に映った木アさんの背中を手で押しているそうです。選手にとって合宿地は第二の故郷のような場所。きっと木アさんは五輪のスタートラインで二人の笑顔を思い出すでしょう。

(共同通信/2012年7月23日配信)

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