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おしゃべり散歩道2012

競技の枠超え交流

 ロンドンの空は気まぐれで、大抵一日1回はさっと短い時間雨が。雨上がりの虹を濡れた石畳が喜んでいるように見えます。ホテルから放送センターのあるオリンピックパークへは毎日2階建ての真っ赤なロンドンバスで通います。2階の一番前の席に陣取って、タワーブリッジやロンドン塔など眺めながら30分間の小旅行を楽しんでいます。帰りは終わる時間がだいたい同じなので、様々な競技の解説者とご一緒します。先日は水泳の設楽義信さんや鈴木大地さんたちと。「プールの水温が26℃に設定されていますが、日本選手にとって本当は27℃位がいいんですよ」と鈴木さんが言うので、その理由を伺うと、低めの水温が好きなアメリカ人に合わせられているとのこと。またある日は陸上短距離の朝原宣治さんとご一緒しました。教え子の江里口匡史さんが予選敗退してしまったことを残念がっていました。「でも100mは恥ずかしい時間が少ないからいいですよ」と。調子が良くない時に「マラソンだったら2時間以上も恥ずかしい思いをしなければいけませんものね」と私。車内に笑いが起きました。女子1万m決勝が終わった日の帰りのバスの中は大変でした。「日本の女子が先頭を走ったのでびっくりしたよ」と自転車競技の中野浩一さん。福士加代子さんがスタートして間もなく、先頭に立ち、それに新谷仁美さんが追随。アフリカの選手たちを従え、主導権を握ったのです。その結果、新谷さんは30分59秒という日本歴代3位の記録で9位でゴールイン。「オリンピックで自己ベストは大したもんだ」とレスリングの富山英明さん。競技の枠を越えて、解説者も交流が深まるオリンピックです。

(共同通信/2012年8月6日配信)

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