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おしゃべり散歩道2012

五輪誘致が選手の力に

 ロンドンのシティ(金融街)の入口セントポール大聖堂の前には、たくさんの日の丸が拍手を贈るように風に揺れていました。五輪最終日の男子マラソン。第三集団に居た中本健太郎さんが先頭から遅れた選手たちを一人また一人と堅実に抜き去り見事6位入賞。世界のスピード化が進む中で日本の粘っこさを活かした最良の戦い方だったと思います。ところで、この五輪メダル獲得数は史上最多の38個。その要因はマルチサポート事業によるところが大きいと思います。マルチサポート事業とは、メダルが有力な競技に絞って支援を行う文部科学省の施策です。競泳陣の大躍進はもちろん、普段はあまり馴染みのないフェンシング、アーチェリー等のメダル獲得に大きく貢献したと思います。ナショナルトレーニングセンターにアーチェリー専用の練習場が出来たのは今春。宿泊施設も利用できるため代表チームで長期合宿を行いました。強化費が少ない競技団体でもこの支援があれば海外遠征を行ったり、管理栄養士、理学療法士等の専門家からアドバイスを受けることができるのです。
 これからもこの事業をどんどん広げていって欲しいと思います。そして、日本選手団への最大の支援は地元開催を実現することでしょう。今回、英国チームの活躍をみてつくづく感じました。私がいたオリンピックスタジアム。七種競技で英国のエニスさんが優勝した時は観客は総立ちになり大歓声。座っている椅子が揺れました。そして歓声冷めやらぬままのその波に背中を押されるように英国のファラーさんが男子一万米で金メダルに輝いたのです。応援する人もすごく幸せを感じているように見えました。日本はこの好調をリオにつなげ、2020年には是非五輪が東京にきて欲しいと思います。

(共同通信/2012年8月13日配信)

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