子ども達のエネルギー
実りの秋、小中学校では運動会シーズンです。先日、陸上短距離元オリンピック日本代表の井上悟さんがテレビ番組で「速く走るためには上半身が大事」と子ども達にカヌーのパドルを漕ぐ練習をさせていました。肩回りを動かして腕ふりをスムーズにしてから走り出すと、あっという間に記録を伸ばしたのです。
運動会で順位をつけない学校もあると聞きますが、私は反対。その気持ちを強くしたのが9月2日にお邪魔した石狩市民スポーツまつりです。500人程が集まった会場は、思わず体を動かしたくなるような青々とした芝生の広場。そこで大人は地区対抗の玉入れやおみこしレースで汗をかき、トリは市内の小学校低学年が20チーム参加してのたすきリレー大会。子ども達はスタートするや否やライバルに負けまいと団子状態でコーナーに突っ込みました。足元が芝生とあり転ぶことを怖がらず、すごい前のめりで走る一年生。女の子に抜かれまいと両肘を突き出して走る男の子。その激しさといったらありません。応援する家族や友達も身を乗り出して、「おばあちゃん、このコーンから出ないで下さい!」なんて係の人から注意を受けるほど。でもその光景がすごく自然に感じられたのです。
子どもは元来、エネルギーが体にあふれています。晴れの舞台があり、たくさんの応援があれば張り切るのは当然。順位をつけるから力を「出し切る」ことが出来るのだと思います。そして石狩では、負けて悔しがる子どもに「どんまい、また来年」と声をかける周りの空気が明るかったです。これも大切なことだと感じました。スポーツにおけるエネルギーの発散が「いじめ」の問題を解決できないかと考える秋です。
(共同通信/2012年9月3日配信)
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