まだまだ少ない女性の参加
偕楽園の萩の花が満開だった9月下旬、水戸市で男女平等参画推進のシンポジウムが開かれました。私はスポーツの面から講演。水戸といえばロンドン五輪男子サッカー初戦のスペイン戦で、勝利のゴールを決めた大津祐樹さんの故郷なので「きっと大津さんの心には葵の御紋があったのでしょう」と話すと250人の聴衆から大きな拍手。大津さんがいかに地元の皆さんから愛されているかが分かりました。シンポジウムでご一緒したのはJ2水戸ホーリーホックの社長の沼田邦郎さん。「うちはサッカーだけでなく女子ラグビーチームもあるんですよ。選手が学校や幼稚園を訪問したり、健康づくりのイベントに出演したりしています」と沼田さん。様々な触れ合いを通して地域に根差した一生懸命な活動が伝わってきました。
ところで今、市民マラソンが大人気。ランニングやウオーキングは男女や年齢差、障害の有無を越えて一緒に参加できるという面で、男女平等社会の縮図とも言えます。20年前、皇居を走っている方といえば熟年の男性ばかり。今はカラフルなウエアに身を包んだ若い女性の姿が目立ちます。でも、昨年度の日本国内のフルマラソン完走者は18万人中、女性は約2割。米国は50万人中約4割が女性です。(専門誌ランナーズ調べ)まだまだ女性には参加することへの障害があるのでしょう。働いている男性は夜遅くに自宅の周りを走ることができても女性はそうはいきません。また大会に行くと着替えの場所やトイレの問題も。その障害をひとつひとつ取り除いていくことで参加者数が限りなく50:50に近づくのだと思います。スポーツをしながら男女平等参画を体感する秋にしたいものです。
(共同通信/2012年10月1日配信)
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