ユーモア抜群のメダリスト
男女が交互にたすきを繋ぐ国際千葉駅伝。24回目の今年はロンドン五輪のメダリストが3人も来日し、豪華な顔ぶれでした。アメリカチームの5区(10km)を走ったのはゲーリン・ラップさん。男子1万mの銀メダリストです。この駅伝でも格の違いを見せつけ、区間賞を獲得。白人として1万mを26分台で走った史上2人目の選手なので、さぞかしストイックな人だろうと想像していたら大変フレンドリーでユーモアセンスも抜群でした。
そのラップさんを指導するのがアルベルト・サラザールさんです。マラソンファンなら「おーっ」という声が出るでしょう。ニューヨークマラソン3連覇など輝かしい記録を残した名選手。瀬古利彦さんの良きライバルで、80年代にしのぎを削った戦友のような関係です。レース2日前にそのことをラップさんに話すと「素晴らしいランナーが日本にいたんですね。ミスター・セコに会いたいな」と。
そして翌日の記者会見に瀬古さんが登場。「サラザールさんから私の事は聞いていますか」との質問に、「いえ、昨夜日本の人から聞きました」と。瀬古さんはズッコケ、会場は爆笑の渦に。気を取り直した瀬古さんは「コーチは厳しいですか」と質問。「はい、練習中は厳しいけど、グラウンドの外ではフランクで優しい父親のようです」とラップさんは話したのです。
サラザールさんは「アフリカ勢に勝てないわけはない」と口癖のように話すそうです。練習はスピード強化が主で、大変厳しいもの。でもラップさんは「自信が付いて、レース前に緊張しなくなりました」と。日本選手も意識とやり方次第ではまだまだアフリカ勢に対抗できると期待せずにはいられませんでした。
(共同通信/2012年11月26日配信)
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