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おしゃべり散歩道2013

コツコツ歩み続けたカメ

 柔らかな春の陽ざしに包まれた第7回東京マラソン。およそ3万6000人のランナー達がぞれぞれのスタイルで皇居や銀座、浅草等を走る姿は朗らかで、東京が健康パラダイスになりました。そんな舞台を選んで競技生活に一区切りをつけたのは尾崎好美さん(第一生命)です。09年のベルリン世界選手権のマラソンで銀メダルに輝き、昨年のロンドン五輪にも出場。日本を代表するマラソンランナーですが、下積みの長い遅咲きの選手でもあります。00年に第一生命に入社後、マラソンを走るまでに8年を要したからです。尾崎さんはそんな自分を「カメ」と例え、山下佐知子監督の誕生日に「こんな歩みのノロいカメのような私を指導して下さりありがとうございます」とメッセージを添えたこともありました。そんな尾崎さんの強さの秘訣を「気持ちの切り替えの早さ」と山下さんはスパっと言います。だからこそロンドン五輪の切符と獲るために世界選手権で失敗してしてもすぐに立ち上がり、計3回の選考レースを走ることが出来たのです。また「こんな素直な選手はいない。だから成長した」と話す山下さんは、13年間当たり前のように朝練習で顔を合わせていた尾崎さんがいなくなることが寂しいと話します。
 尾崎さんには海外の大学で研究している大切な人がいるので、退社後はしばらく陸上競技から離れます。しかし、「陸上競技に何らかのカタチで恩返しもしたい」と話していることからも、将来は子ども達に走る楽しさを伝えるなど陸上競技の普及活動に力を注ぐことでしょう。コツコツと13年間努力し続けたカメは、これからの人生の道も爽やか歩んでくれるはず。尾崎さん、本当にお疲れ様でした。

(共同通信/2013年2月25日配信)

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