スポーツツーリズムとマラソン
白山連峰が遠くに見えた4月21日、石川県加賀市で第1回加賀温泉郷マラソンが開催されました。ゲストランナーとして招かれた私は、2.4kmのファンランと5kmの部に出場。その後はコース上で応援を。スポーツツーリズムのお手本となる大会だと感じました。寺前修一市長は観光学博士号を持つアイディアマン。「加賀市にある3つの温泉地はこれまでバラバラに動いていた。このマラソンでは3つを繋ぐコースにしました」と。加賀片山津温泉、加賀山代温泉、加賀山中温泉と、温泉地の名前にも市の条例で「加賀」の名称を付け、大きな温泉郷として発信しています。
それぞれの温泉地は街並みの表情にも違いがあります。沿道には旅行客や家族づれの姿が多く、中にはご主人を待つ女性の姿も。「走っている間、競技場にいても退屈でしょ。主人が来るまで温泉でのんびりしてました」と満足気に話すのでした。6時間の制限時間のもとフルマラソンを走り終えたランナー達にはマッサージのサービスが。そこでお話を伺うと「山中温泉の“にゃーにゃーまんじゅう”が美味しかったな」「山代温泉で着物姿の女将さんが応援してくれた」「片山津で食べた苺に元気をもらった」等々、まるで旅人のよう。3つの温泉街が競い合ってもてなしている様子もうかがえました。
そして加賀温泉郷にはおもてなしやPRに力を発揮する若き女性集団がいます。その名も「レディー・カガ」。女将さんなどの有志で1年半前に結成され、ネーミングの妙もありメディアにも頻繁に登場。この日もゴールの出迎えに表彰にと大活躍でした。アイディアと地道な努力でお客さんを呼ぶ加賀温泉郷の取り組みは、面白いなと感じます。
(共同通信/2013年4月22日配信)
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