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おしゃべり散歩道2013

道路に愛着ある名称を

 鯉のぼりが初夏の風に泳いでいます。先日、東京都通称道路名検討委員会に出席。都道に名前を付けていこうという会議です。東京の道路には外苑西通りや内堀通りなどの通称があります。その名前を付ける会議は過去に2回開催。1961年東京オリンピックに向かう時期と、ふるさとと呼べる町づくりの一環で行われた1984年です。
 なぜ道路に名前を付けるか?正式名称で「東京都道405号外濠環状線」なんて言われてもピンときません。でも「外堀通り」だと分かり易いのです。地域振興、観光振興、緊急時の利便性などの理由があると説明を受けました。委員の顔ぶれはバス会社、警察、作家、自治体の首長などバラエティに富んでいます。私が選ばれたのも、日本国内外の様々な道を走っているからなのでしょう。会議では「事故などで110番通報をする時、分かり易い名前がいい」、「住宅と道路を一体化するような地域愛につながるような名前がいい」、「有名な観光地を道路の名前につけてはどうか」等々、活発な意見が出されました。
 昨年滞在したロンドンでは、リージェント通りやオックスフォード通りという目抜き通りはもちろん、車が通れないような路地に至るまで名前がついていました。五輪のマラソンコースも「リーデンホール通りからマーケットに入って、ライム通りに抜ける」という説明が。また中継では「選手はクイーンビクトリア通りを東に向かっています」と言うので、画面に映る景色に彩りが感じられました。道の名前は長く人々の生活に関わっています。歴史的な由来と地域の人々の愛着の2つの観点を大切にしながら、これからも議論に参加していきたいと思います。

(共同通信/2013年5月2日配信)

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