何事にも全力を尽くす
「おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな」。岐阜を訪れ鵜飼を見物した松尾芭蕉の句。その長良川を舞台に5月19日、第3回高橋尚子杯ぎふ清流マラソンが開催されました。約1万人のランナーが長良川沿いを走る姿は色とりどりの清流のよう。ハーフマラソンのコースはQちゃん(高橋尚子さん)の監修によるもので、駅前の黄金の信長像、古い町並みの川原町、岐阜城がそびえる金華山を眺める長良川沿いと、魅力が盛りだくさんでした。
大会長のQちゃんは前日のランニングイベント、前夜祭からフル回転。彼女がいるところにはたくさんの人が集まります。前夜祭で私は「20年後には駅前の信長の像の隣に黄金のQちゃん像が立つかもね」とスピーチすると、古田肇岐阜県知事や財界関係者からたくさんの拍手を頂きました。招待選手の川内優輝さんも「大会で故郷を元気にできるのは高橋さんの人柄の賜物」と尊敬の気持ちを伝えたのです。
そして大会当日。1週間前の仙台に続き63分台で走りたいと言っていた川内さんですが、ハーフマラソンで世界記録を持つエリトリアのゼルセナイ・タデセ選手の速いペースに付いていき、後半失速。65分05秒の14位でした。「不甲斐ない結果を高橋さんにお詫びしなくては」と川内さん。会見後Qちゃんは「世界チャンピオンと走って勉強できたんだから、よかった」とニッコリ。
第1回大会から川内さんは3回連続の出場ですが、Qちゃんと川内さんは共に共通点を感じているのだと思います。何事に対しても一生懸命で全力を尽くす姿勢。それに走ることが好きで好きでたまらない点も一緒です。長良川の水面に跳ねた若鮎が初夏の陽を受け上流へと向かっていきました。
(共同通信/2013年5月20日配信)
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