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おしゃべり散歩道2013

共に体動かし、笑おう

 東日本大震災から2年余。5月26日に宮城県石巻市で「全国ストップ・ザ・ロコモ協議会キックオフイベント」が開催されました。筋肉や骨、関節などの運動器の障害を“ロコモティブ、シンドローム”と言いますが、その予防を推進しようとする全国運動。私は日本臨床整形外科学会理事長の藤野圭司さんや医師会の皆さんに混じって参加したのです。
 会場に向かう途中、「海岸から5kmほどです」と現地の先生が話す場所には新しい住宅が軒を連ね、レストランなども立ち並びニュータウンの様相でした。しかし、その一角に取り残されたように仮設住宅団地が点在しています。石巻は震災で最も被害の大きかった所ですが、復興に格差が生じていると感じました。
会場の石巻専修大学グラウンドには約200人の市民の皆さんが。青空のもと、音楽に合わせて片脚立ちをしたりスクワットをしたりする「ロコモ体操」を行いました。また神戸から駆けつけたリピート山中さんによる楽しい歌やトーク、最後はみんなでウオーキング。笑いの多い3時間でしたが「この雰囲気が大切なんですよ」と藤野さんもニッコリ。
 ウオーキング中、少し前かがみで歩く白髪の女性にどちらから来られたか尋ねると「すぐそこの仮設です」と。「2年が経ち、やっと仲良くなった友達が次々に出ていってしまうことが寂しい」と話しました。震災で1階が浸水したという50代の女性が「自宅を建て替えたのよ」と言うので、「もう津波が来ないといいですね」と私が言うと「その時は逃げるから大丈夫。しっかり脚を鍛えておかなきゃ」と。復興のスピードには個人差がありますが、共に体を動かして笑う時間が大切だと実感しました。

(共同通信/2013年5月27日配信)

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