競い合い、励まし合い
7月上旬スイス、チューリッヒから電車でサンモリッツへ。途中からは世界遺産に登録されている路線で、険しい山を石橋とトンネルで上り、氷河を望みながら進みました。サンモリッツに到着し、グラウンドへ行くと、真っ黒く日焼けした野口みずきさんの姿が。気温20度の中、400m×20本のインターバルトレーニングの最中でした。世界各地から来ているアスリートの中で一際小柄な野口さん。でもストライドは大きく、パワフルな走りが光っていました。
「野口さん元気ですね」と廣瀬永和監督(シスメックス)に話すと、「元気ですよ、昨日は20km走をいいペースで出来ました」とにっこり。その隣で福士加代子さんの監督の永山忠幸さんが「野口さんの練習量が多いので、ここでは福士は別メニューにしましたよ」と。
野口さんと福士さんは、8月10日から開催されるモスクワ世界選手権に向けて6月は米・ボルダーでの日本陸上競技連盟の合同合宿に参加。その時、大事な練習は全部一緒に行いました。「40km走では野口さんに福士は8分も遅れました」と永山さんが話すと、「トラックのスピード練習では野口は福士さんに全くついていけなかった」と広瀬さん。お互いに刺激し合いながらの練習はレースのような迫力だったそうです。そして練習後、夕食がのどを通らない福士さんに、野口さんが「明日のために食べようよ」と話すと、福士さんは野口さんと同じものをお皿に取って食べる日も。
トラックの女王福士さんに対して野口さんは一目を置き、金メダリストの野口さんを福士さんは尊敬しています。加えて二人は苦労人なので認め合える間柄。競い合い、励まし合いながら向かう本番が楽しみです。
(共同通信/2013年7月8日配信)
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