力の源は家族の支え
歩道のラベンダーがまるでブルーラインのように選手たちの水先案内を務めているようでした。7月21日、北海道士別市で第27回士別ハーフマラソン大会が開催。合宿中の実業団や大学生に混じり、モスクワ世界選手権を約1か月後に控えた川内優輝さん(埼玉県庁)が参加しました。人気者の川内さんが歩くと子どもから大人まで握手や写真を求めて集まります。その様子を伺いながらマスコミが囲むのですごく賑やか。
今回はお母様の美加さんも同行しました。「人気者で大変ですね」と私が話すと「指名手配されたみたいだと本人も笑っています」と。美加さんは楚々とした美人。私と同じ昭和39年生まれで、美加さんが中学、高校と陸上800mの選手だったこともあり、気が合います。9年前、ご主人に先立たれ、二人の息子は20歳を越えました。「寂しいですけど、時々こうやって一緒に旅行させてもらえるのがありがたいです」と話します。
とはいっても、レース当日は朝ごはんから全くの別行動。美加さんは沿道で応援せずに地元の方とお話したり、大会場を歩いたりしていました。息子にプレッシャーをかけまいとする親心もありますが、「お互いがマイペースなんです」と。この日川内さんは29℃の暑さの中、1時間6分45秒の22位でゴール。実業団選手だけでなく大学生にも負けて本人は悔しそうでしたが、美加さんは「これでダメだと思われて、本番までのプレッシャーが少なくなればいいですけど」と。
川内さんは週末のレースを練習の一環として走っています。そして年に数回、お母さんや弟さんを同行し、レース後、観光地を一緒に周ります。川内さんの力の源は家族の仲がいいことだと感じます。
(共同通信/2013年7月22日配信)
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