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おしゃべり散歩道2013

ロンドンの借りモスクワで

 長雨も終わり、真夏の太陽が降り注いでいます。米・コロラド州ボルダーで約7週間の合宿を積んだ木ア良子さん(ダイハツ)が7月29日の早朝に帰国。日に焼けた顔に笑顔が眩しく、本番(モスクワ世界陸上選手権女子マラソン・8月10日)への手応えを感じているようです。「最後の大事な練習で自己ベストが出ましたよ」と監督の林清司さんも嬉しそう。木アさんはこれまでも合宿の終盤、5km×7回のペース走で仕上がり具合をみてきました。今回のタイムが、昨年のロンドン五輪前、そして3月に優勝した名古屋ウィメンズ前よりも良かったのです。
 世界選手権は2年に1度開催されますが、過去に五輪の翌年の世界選手権に出場したマラソン選手はいません。4年に1度の五輪の後は燃え尽き感や達成感により、暫く心身の休息が必要だからです。史上初、五輪と世界選手権の連続代表になった木アさん。その原動力は“悔しさ”でした。ロンドン五輪でアフリカ勢に主導権を取られ、全然太刀打ちできなかったからです。お父さんの和夫さんからはただ一言「経験不足だったな」と言われたそうです。和夫さんは学生時代箱根駅伝を4年連続で走った名ランナーで、遠くから良子さんを見守っています。林監督も同じ見解で「アフリカ勢は後半一気にペースを上げるけど、そこに我慢してついていけば、またペースが落ちるんだよ」と。そのことは海外のマラソンで場数を踏んでいないと分からないのです。
 木アさんは、ボルダーでペースの上げ下げに対応する練習を入念に行いました。ロンドンの雪辱を果たしたい気持ちを胸に、持ち味のピッチ走法で小気味よい足音をクレムリンに響かせるでしょう。

(共同通信/2013年7月29日配信)

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