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おしゃべり散歩道2013

知好楽の精神で指導

 秋桜が風に揺れる朝、長野新幹線で上田駅へ。菅平で合宿中のヤマダ電機チームを取材するためです。改札口に監督の森川賢一さん(55歳)の姿が。「よく来てくれました」とにこやかな表情で出迎えて下さいました。私が勝手に取材で訪れるのに、ここまでして下さる監督は滅多にいません。駅から合宿先のペンションまで森川さんの運転する車で約40分。中央アルプスの稜線を眺めながら宿舎に着くと、今度は選手達が明るい挨拶で迎えてくれたのです。
 森川さんは佛教大学陸上競技部を率いて2度の駅伝日本一を達成。大学の名を全国区にした人です。その後は「五輪選手を育てたい」という夢を追い、昨年、実業団チームへと指導の場を変えました。しかし、学生と社会人の指導の差は大きく、なかなか思うような結果が出せず、昨年12月の全日本実業団女子駅伝では26位と後ろの方。
 「昨年は軽い鬱になっていたと思います。でも自分が暗い顔していて選手が楽しく走れるはずがない」と。論語の「知好楽」の精神を思い出し、楽しむことを心掛けるようになったそうです。すると徐々に結果が出始め、この秋は実業団陸上でも国体でも選手達は大活躍です。 
 この日の練習は県営の陸上競技場で400mのインターバルを10本。ゆっくり走るリカバリーが400mもあり驚きました。普通は100m。「意欲を引き出すため、練習で追い込み過ぎないよう心掛けています」と森川さん。佛教大学時代から活躍した西原加純さんや竹地志帆さんの姿もあり、シャープな動きをしていました。選手達の中には、森川さんを真似て雑巾でのトイレ掃除を日課にしている人もいます。競技を通しての人間教育を感じるチームです。  

(共同通信/2013年10月21日配信)

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