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おしゃべり散歩道2013

陸上の魅力発信

 穏やかな話し方で分かり易い解説、風貌も爽やかな為末大さんは今マスコミの世界で大活躍です。先日、新聞週間「記念の集い」でご一緒する機会に恵まれ、人気の秘密が分かりました。選手時代は世界陸上競技選手権で2度もメダルを獲得したトップアスリート。でも控室では一歩引いた遠慮深さがあるのです。
 この日、為末さんは基調講演の中で、故郷の広島で8歳の時に初めて陸上の大きな大会を見て、観客が2000人位しかいなくて寂しいと思ったと語りました。広島といえばカープの試合で市民球場に数万人が入るのに、陸上はここが到達点なのかと感じたそうです。また、専門的に取り組んだ400mハードルはマイナー競技だったので、「メディアに取り上げてもらうためにたくさん喋ろうと思いましたよ」と。
 そんな経験から常に陸上競技の発展を考えています。選手の頃、クイズ番組で手にした賞金をもとに、陸上競技に生で触れてもらおうと東京のオフィス街で棒高跳びやハードルを実演する企画を行いました。そして引退した今、スポーツ報道に関しては「戦略的な面、科学的な側面を伝えることで魅力も増します」と提言。「でも増田さんのエピソードを通して人を紹介する解説も好きです」とフォローも忘れません。
 今年8月のモスクワ世界陸上選手権で、朝食の時にお会いした奥様も知的でサバサバされた方です。驚いたのは帰国の日に為末さんご夫妻が大きなリュックを背負ってホテルのロビーに現れたこと。「これからサラエボに行ってきます」と二人はにっこり。ワイルドさは現役時代の「侍ハードラー」のままです。これからもスポーツを通して発信し続ける侍の奮闘が楽しみです。

(共同通信/2013年11月1日配信)

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