強気でチャレンジ
東京湾越しに富士山がきれいに見えた11月23日、第25回国際千葉駅伝が開催されました。男女混合のチームが特徴のこの大会に、海外から10か国、そこに日本代表、学生選抜等が加わり計13チーム。結果はケニアの圧勝でしたが、私はセンターで解説をしていて、1区から楽しみで仕方ありませんでした。何故なら前日、学生選抜チームの村山謙太さん(駒沢大3年)が、大迫傑さん(日本代表チーム・早稲田大4年)に対して「明日は大迫さんしか見ていません。ガチンコ勝負がしたいです」と宣戦布告を。そのことを他から聞いた大迫さんは、「最近の村山くんは強いですから。僕は落ちついて頑張ります」と静かな口調。既に駆け引きは始まっていたのです。
当日、スタート直後から村山さんは先頭に立ち、格上のケニア選手に付いていく積極的な走りをしました。何と村山さんは一度も大迫さん(区間4位)の姿を見ることなく勝利(区間2位)したのです。村山さんのような有言実行型で、失敗を恐れずに進む姿勢は将来の源泉になると感じました。
失敗を恐れないという点では、3区を走った宇賀地強さん(コミカミノルタ)も同じです。5位で貰った襷を一つでも順位をあげようと猛ダッシュ。「速過ぎますね。後半もたないでしょう」と、私の隣で瀬古利彦さんは言いましたが、宇賀地さんは区間2位の走りで2人を抜いて襷渡し。来年1月に初マラソンでドバイを走りますが、「結果を出しにいきます。目標は2時間06分30秒!」と、キラリと目を輝かせました。今、日本の長距離界は男子が強くなってきましたが、トップクラスの選手に自分を奮い立たせる強気なチャレンジ精神があるからだと思います。
(共同通信/2013年11月25日配信)
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